Shrewd card magic 【カードマジックについての雑文】

　お薦めのDVDだけを紹介するReview。

　日本を代表するカードマジシャン（カードだけじゃないけど）、ゆうきとも氏。いやまあ、あらためて買ったDVDを見ていたら、こんなにすごい作品がこんなにあったなんて、と再度驚いてしまった。ゆうき氏は名作と言われる数々のトリックあるいは昔ながらのプロットを、なるべく難度の高い技法は使わずにでき、それでいてインパクトは強まるように、見事に再構築する。さまざまな名作の「ゆうきバージョン」は、オリジナルよりも、見る側にとっては分かりやすくて面白く、演じる側にとっても無理の少ないものに仕上がっているのではないかと感じさせる。「これさっそくやってみよう」と思わせるものがたくさんあるのだ。

　ただ、難しい技法は使わずに、とは言っても、ゆうき氏のようにスムーズに演技するのはそう簡単ではない。けっこう凝ったハンドリングになっている作品も多く、それに挑戦してみるのはまるでパズルを解くような面白さがあるが、全体を流れるようにやるのはかなり難しい。でも実に練習しがいのあるものばかりだ。

「トランプの友」は全５巻。全部撮り直した新しいバージョンが出たらしいが、私が持っているのは古いバージョンで、BGMばかり大きくて声がよく聞こえないなどの難点があるが、マジック自体は素晴らしいものばかり（古いバージョンを持ってる人も新しいのを買いましょうという宣伝があったが、さすがにそれは……）。ビジター、リセット、トライアンフ、各種のフォーカードアセンブリなどなど、オーソドックスなトリックやプロットが姿を変えて、魅力を増して登場する。もう、全部氏のオリジナルと言ってもいいのかもしれない、などとも思ってしまう。

　アウトオブサイト・アウトオブマインドの改案も知りたくてDVD「カードワークス」も買った。５枚のカードをバラバラに入れたように見せるサトルティがいい。

　ゆうき氏は月刊で「monthly Magic Lesson」というレクチャーDVD（解説書付き）を発行している。もう70巻近くまでいっている。全部を買いたいところだが、ちょいと無理なので気になるのがあった時だけ買う。サイトではほとんど全部の演技映像を見られるので、選択するのに非常に便利である。私が買ったのは以下。

第１巻、とりあえず第１巻なので。

第２巻、マセマジシャンが知りたくて。

第４巻、マハトマコントロールが知りたくて。

第13巻、パケットでのダブルプッシュオフが知りたくて。そうしたらこのDVDでは、ダイ・バーノンのダブルリフト手法も解説されていた。これは海外含め多くのプロマジシャンがやっている方法。ただ手が小さい日本人にはやや難しい。まず何らかの方法で２枚の下にブレークを取り、親指と中指でダブルカードをはさんで１cmほど右へ押し出すやり方だ。バーノンの本（クロニクルズ第１巻など）には書いてあるのだが、映像での解説は初めて見たのでうれしかった。現在私もこれを使っている（使おうとしている）。

第15巻、パケットチェンジが知りたくて。パケットチェンジはやっぱりインパクトある。

第17巻、カルが知りたくて。もっとも、以前にも書いたが、コスチャ・キムラットの「ロードランナー・カル」はさらに素晴らしいものだった。

第28巻、マッチング・ザ・カードが知りたくて。このバーノンのトリックも本当に好きなのだが、ゆうき氏の手によってまたさらに魅力を増している。事前のセッティングをなんとかささっとする手はないものか……。

第44巻、オールバックが知りたくて。ギミックを１枚自作する必要があるが、めんどくさがりやの私でも、この１枚くらいは持っててもいいと思えるくらい素敵な作品である。処理もうまくできるよう考えられている。

　また、DVDを買わなくても、サイトにある動画を見るだけでも、いろいろネタを仕込むことができるのはありがたい（すみません）。

　この他、ゆうき氏のDVDではパケットものも３つほど買った。これらもどれも驚きの作品ばかりなのだが、カードセットを持ち歩くのがめんどうな私は今のところ鑑賞するばかりである。