DVD Review #001 「Past Midnight」(Benjamin Earl)と「Encyclopedia of Card Sleights」(Daryl)2010年12月12日 12時22分18秒

 今までに買ったたくさんのDVD。買って安心してちゃんと見てない、あるいは忘れてしまっているのも多いので、あらためて見直している。個人的にお薦めのものを紹介していきたい。
 まずはごく最近買ったDVDと、数年前に一番最初に買ったDVD。
 ベンジャミン・アールの「パスト・ミッドナイト」は、もう唸らされるばかりの内容。目から鱗剥げまくりという感じだ。コレクターズ、ホフジンザープロブレム、トライアンフ、エースアセンブリといった古い課題に対し斬新な回答を提示したり、アードネス時代からのよく知られたテクニックを心理学的に洗練させて展開したりしている。逆さにしても大丈夫なワンハンドパスなど高度なテクニックの紹介も少なくない。しかし、そうした難しい技を平然と行っていることよりも、フォールスカット、フォールスシャフル、ピーク、パームなどを含め、初・中級者向けのテキストにも出てくるような技を、タイミングや付随する動作など細部にまで神経を行き渡らせることで、完全な上級技に昇華している点に、他ではなかなか見られないすごさを感じる。
 紹介されているトリックや技法をそのまま真似するのもいいが、例えば今自分がやっているトリックや技法をあらためて見直し、より良くするにはどうしたらいいのか、それを検討する際に参考になる考え方がたくさん詰まっているように思う。
 ただ、解説中には、知ってて当然というような感じできちんと説明されないカットやシャフル、コントロール、スタック、さらには説明のないトリックもあったりするので、初心者向けのDVDではない。てっきり解説してくれるとばかり思っていた部分が何のコメントもなし、というのに困惑したりもする。でもこのDVDを見ていると、「自分もようやくこういうDVDが見られるようになってきたのかな」などと、ちょっとした自己満足に浸ることができる(?)。3枚組み。英語力がかなり必要である。特に3枚目のメンタルマジックの解説に関してはけっこう早口の英語が難しく、まだちゃんと理解できていない。TOEIC830点もそれほどたいしたことはないのである。

 さて一方の、ダロー(私はダリルと呼ぶのが好きなのだが…)の「エンサイクロペディア・オブ・カードスライツ」は、私が一番最初に買った入門用DVD。全8巻。基本的な技はもちろん、かなり高度な技まで網羅している。一番最初はカードの種類の説明から始まるという、本当にステップバイステップの解説。また、技を紹介する中でたまに登場するトリックもなかなか実践的なものがあって、いまだに練習中のものも多い。「これ買ってよかったなあ」といつも思っている。ただし、パスについてはスプレッドパス以外は一切触れていない。DVDの中でダローは「パスはそれに代わる技法がたくさんあるから」といったようなことをしゃべっている(ようだ)。英語だが、比較的分かりやすい。

 この2つ(2セット)のDVDの間に、本当にたーくさんのDVDを買っている。良いと思うものだけ、順次紹介していきます。